日本海軍戦艦“陸奥”

皆さんは子供の頃モーターライズの艦船模型作って池で走らせた記憶ありませんか?
フルハル艦船模型製作の資料集めの為あちこちのサイトを巡っていると、 様々な艦船模型のラジコン化の記事に出会う事が出来ました。
各サイトの創意工夫あふれる作品に触れている内に子供の頃夢中になって遊んだ記憶が蘇り、 制作意欲がぐんぐん盛り上がってきましたので、元々ディスプレイモデルで 製作予定だった作品を急遽モーターライズで完成させる事にしました。
この作品でモータライズシップのノウハウを蓄積し、次回の作品のRC化に生かす算段です。

で、今回選んだ陸奥ですが、種を明かすと本来は長門のディスプレイモデルを作るつもりで始めた物です。
前作の信濃同様、ウオーターラインをフルハルに改造すべく、アオシマのキットにニチモの30cm を組み合わせて製作するつもりだったのですが、その矢先にアオシマからフルハルモデルが発表されてしまい、 どうせ作るならこちらの方が良いという事で、一時宙に浮いてしまいました。
さて、そんな状況を変えたのが上記のラジコン改造記事です。これを機に「折角ニチモの船体がモーターライズなのだから これを生かした作品を作ろう、ダブった船は姉妹艦にしてしまえば違いも楽しめるし♪」という考えが浮かんできました。
そんな訳で発売されたフルハルモデルは姉妹艦の陸奥の方を購入し、部品を入れ替えてモーターライズの方を陸奥、 ディスプレイの方を長門として製作する事に決定しました。
1:パーツ検証
先ずはニチモの30cmシリーズの船体をウオーターラインに
合わせてみます。
@キット状態です。スケール換算で1/780程度です。
全幅で5ミリ、全長に至っては2cm強はサイズが不足しています。
Aパーツを艦首側に合わせてみたところ。
ニチモのパーツは艦首の角度が鈍角で太く短くなっており、
アオシマのパーツに全く合いません。
B逆に艦尾側に合わせてみたところ、ピタリと合いました。
若干短く見えるのは先端の形状がダルな所為。これなら僅かな
改修で調整出来ます。
C画像では分かり難いですが、幅は全く足りてません。
拡幅工作は必須です。
ただ、後で判ったのですが、ニチモの船体はバルジの形状・厚みが
おかしいようで、アオシマのフルハルモデルと比較すると明らかに
オーバースケールのようです。
水に浮かべる上で重いパテを多用するのは良くないので、ここだけ
他の船体を使うか(どうせ切り貼り工作だし)、肉厚を生かして
削り込むかした方が良いかも知れません。
2:とりあえずカット
スペーサーを挟む為にレザーソウで船体を切り分けます。
艦尾は形状が合うのでそのまま使い、残りの部分を中心線に沿って
カットしました。
この手の工作の場合、幅増しを一箇所で行うとラインが大きく狂う
ので、細かく切り分けて少しずつスペーサーを挟むのがセオリー。
しかしながら水上走行を目指す場合、強度の関係上切る場所は極力
減らした方が良いので、やむなくこういう形になりました。
3:拡大完了
先ず二つに割った船体を、それぞれ船体上部の舷側に仮止め。
結果生じた隙間の幅を計ってプラ材でスペーサーを作製します。
今回は手元にあったエバーグリーンのプラ材の幅がドンピシャ
でした。
接合部は念の為アルテコの瞬着パテで裏打ちしてあります。
次に艦尾側も同じようにスペーサーを挟んで延長し、生じた段差に
瞬着パテを盛って整形します。
瞬着パテは軽いので、船の工作には好適ではないでしょうか。
以上の工作で艦首を除いた船体が概ね形になりました。
4:艦首の成形と微調整
艦首部分は0.5mmのプラ板を内側から骨組みを作るように
貼って大まかな形を作り、その上からパテを盛って成形しました。
あと、大雑把な延長工作の弊害で舷側に段差が生じてしまったので
細く切ったプラ板を貼って修正しております。
5:船体上部の加工
ニチモのキットはメンテの為に上部構造物がごっそり外せるように
なっておりますが、当然アオシマのキットにゃそんな機構は有る筈
もありません。(笑)
幸い艦橋と2番主砲の基部がユニット状になっていたので、ここを
着脱可能として電池の交換が出来るようにします。
先ず甲板の艦橋基部に隠される部分で、差込用の穴が残るギリギリ
の所まで(画像の斜線部)を切り取り、乾電池が通るスペースを
確保します。
艦橋基部には取り付けピンがあるのですが、あくまで位置決め用の
ものらしく穴に対してブカブカです。
そこでこのピンを切り取り、プラ角棒の小片で補強した上で開孔し
真鍮線を植えました。
また、キットの電池ボックスはモーターブラケットやスイッチと
一体となっており、位置を自由に出来ない構造です。
ここは潔く切り取ってしまい、市販の物を甲板に開けた穴の真下に
両面テープで貼りました。
6:1番主砲塔の加工
ニチモのキットのスイッチは大きなレバーを甲板上に貫通させた物
なので、使い勝手はともかく外観が大きく損なわれてしまうのが
難点です。
そこで同社の1/700大和を参考に、1番主砲下にカムを設け、主砲塔
を回転させる事でスイッチが入るようにします。
まず主砲塔の軸を短く切り、プラパイプを接着。
そこに1ミリプラ板を2枚重ねて作ったカムをねじ留めします。
カムは1辺1センチの正方形の中に直径1センチの円を描き、
内1つの角の頭を円の半径に対してスイッチのストローク分残して丸
めました。
7:1番主砲塔の加工A
砲塔基部のポリキャップが収まる部分の底を抜き、穴の内径を砲塔側
に取り付けたパイプが収まるように広げます。(パイプの径がぴった
りなら必要ありません。)
ポリキャップの蓋も同様に穴を広げておくのも忘れずに。

砲塔を取り付けたらカムをねじ留めしますが、最終的には接着した方
が良いでしょう

あとはアルミ板で作ったアングルにスイッチを取り付けて、適正な
位置に接着してやればスイッチユニットの完成です。
8:配線
上記工作が全て終わったら、モーター・電池ボックス・スイッチを
結線し、作動を確認。問題無ければ半田付けして出来上がりです。
なお、この時の電池ボックスは単3でしたが、後の進水テストで
喫水が下がり過ぎる事が判明した為、軽量化の為に単4に仕様変更
しました。こういうテストはもっと早い段階でやるべきでした・・・。
9:水密工作
キットのスクリューが出る所は、防水の為にグリスを詰める箱が
設けられておりますが、シャフトが通る穴の径がいい加減で少々不安
です。
そこでいったんドリル(2,5ミリ)で穴を拡げてから、2ミリの
シャフトがギリギリで通る内径のパイプを短く切って箱の両端にはめ
込んで瞬着で接着しました。
パイプは、資料集めの為に関連サイトを回った時に見つけた記事を
参考に、綿棒の軸を採用してみましたが、これがサイズ的にピッタリ
だったので驚きでした。
あとはグリスを詰めて蓋をすれば出来上がりです。
10:艦尾外装
さて、残る問題はキットに存在しない「本来の位置に付く」スクリュー
をどうするかです。
アオシマのフルハル長門のパーツを注文なり複製なりするのが楽です
が、個人的な拘りで前回複製した連斬大和のパーツを削り込んで使用
しました。
これでもまだオーバースケール気味ですが、なんとか収まりました。
存在感が強調されて、良いアクセントになっていると思います。

舵はキットの物を使用するつもりでしたが、取り付け時に折れてしま
ったので、プラ板で自作しました。ここは本来舵が二枚並んでいるの
ですが、強度優先で一枚構造に。固定具もゴム管からポリキャップに
変更しました。
11:塗装
 今回も基本塗装は缶スプレー中心で、クレオスの軍艦色・艦底色・タンを使用しております。
しかしこの色、特に軍艦色とタンは連斬大和と比べると随分色味が違います。色単体では結構好みなのですが、
並べる事前提で考えるとちょっと問題が残ります。
まあ、工廠毎に色には若干の違いがあったそうなのでこれで良いような気もしますが、タミヤカラーの二つの
色の違い等、もうちょっと検証の余地が有りそうです。

12:終わりに
 どうにか完成したモータライズ戦艦陸奥。重量の問題や艦底の形状の詰めの甘さ等、課題は残りましたが
当初の目的どおり鑑賞と航行の両立を達成する事が出来ました。
これで動力化のノウハウが得られましたので、次はいよいよ1/700戦艦のRC化に挑戦します。