1/60 ガンダム(その1)

@憧れの高嶺の花

と、いう訳で子供の頃羨望の眼差しで「いつか作ろう」と見上げている内に、いつの間にか店頭から消えてしまっていたガンプラ初期のフラッグシップ、 1/60のガンダムです。ヤフオクで組み立て途中で放棄されていたものを比較的安価で入手、ペイントリムーバーでもビクともしなかった部分塗装をIPA (イソプロピルアルコール:車の水抜き剤としてホムセンで安く手に入ります)で剥離後、仮組みした物が画像の状態ですが、現在のデザインラインとは隔世の感が 有るものの、基本的な形状はとっても良好♪上手くバランスを調整してやれば、安彦版の格好良いガンダムに出来そうです。
因みに今回は伊藤霊一氏の「Lets Try(レッツトライ)ビギナーズ」(大日本絵画刊・以下“レットラ”)の記事を参考に外装の改造を進め、間接部を平成のガンプラから移植して稼動の充実を 図る作戦で行きます。
A中の人のドナー

そんな訳で選んだのがこれ、1/60のフォースインパルスガンダムです。SEED世界で初めてコアブロックを搭載し、配色も先代のストライク・フリーダム よりずっとファースト寄りという、正に「0年代のファーストガンダム」といった趣で、今でも大好きな機体の一つ(スパロボでもずっとレギュラーだったり)です。
選んだ理由もズバリ、平成ガンダムで一番ファーストに近いデザインだからで、間接周りも何にでも流用出来そうなコンサバティブな形状なのが美点。ついでに 五指稼動の手首や武器類の起倒式ピンによる保持ギミック等もそっくり移植出来そうですね。
しかし、上と見比べると同じ人がデザイン起こしたとは思えないほどプロポーションバランスが違ってますね。30年の時間の流れを感じずにはいられません。 が、バランスをこっちに寄せていけば、劇中の軽快な雰囲気を纏わせてやれそう。方向性が見えて来ました。
Bここから着手

製作コンセプトとして「コアファイター内蔵ギミックは生かす」という大前提がありますので、調整作業は必然的に腹部から開始。ここの形状が決まってから他の バランスを合わせていく流れになります。
ご覧の通り、腹部の内壁とコアブロックの間にはガイド用の板とクリアランスが過剰に設けられており、胴体の幅を広げる要因の一つとなっております。
C邪魔者を成敗!

この邪魔な板を切り落とし、マスキングテープを張って最低限のクリアランスを確保したコアブロックに合わせる形で、先ず後部のパーツを中央でカットして現物 合わせで幅詰め。(画像は前部ですが、)次いでこれに合わせるように前部を加工したら後部へ接着して出来上がり。
D細くなった?

この加工で全体が6〜7ミリほど詰められました。中央の空間の幅の変化がわかるでしょうか?(もちろんこの後コックピットブロックに合わせて削って拡げますが)
なお、この後にやや短い上部ブロックに2ミリプラ材を貼ってバランスを取ります。ここまで出来てから胸部を幅詰めするので、無理にくびれの部分で延長しなくても 胸部とはぴったり幅を合わせる事が出来る訳ですね。
Eお次は当然ここ

腹部の加工が済んだら次は勿論胸部です。レットラでも指摘されているように肩口が2重構造になっており、外側は傾斜している為になで肩の原因となっております。 これを解消する為にも外側の部位は内壁を残してカット、幅詰めと肩が垂直に付くようになる一石二鳥の工作で、これだけでも片側で3〜4ミリは短縮されます。
F更に幅詰め

レットラでは胸部の幅詰めは上述の工作で終わり、幅の細いコックピットブロックを拡大してエアダクトを詰めているのですが、ここはあまり賛同出来ません。
実はこのキット、一見中央部が狭い所為で左右が広く見えるのですが、その実バランス的には中央のみ適正でその他の部位がオーバーサイズな事に気が付きました。 よって、詰めるべきはエリとダクトという事になりますので、先ずは胸部前方をこのようにカットしてコックピットブロックを取り出した後に各部を図の線まで削って再接着。 それに合わせる形で後部も中央でカットして幅詰めすると大体4ミリ縮小出来ました。それに合わせる形で後部も中央でカットして幅詰めすると大体4ミリ縮小出来、 合計10ミリ程のサイズダウンとなります。
実はこの方法、昔1/144のキットを改造していた時に気づいたもので、肩幅を外側の青い部分のみで幅詰めすると非常に間が抜けた印象になった為、MG以降のキットと 見比べてみると、エリの部分の幅が随分縮められていた事から導き出した回答です。じじつ、この工作を施すと頭部周辺の密度感が上がりデザイン年度が一気に20年ほど下った 印象になります。(その分頭部の可動クリアランスも制限されますが・・・。)
G上半身調整完了!

ここまで加工の終わった胸部と腹部を組み合わせ、頭部を載せてみました。前述の通り腹部も2ミリ延長してますが、事前の計測通り胸部との幅もバッチリです。 何だか首もこの位長さが有った方がバランス的に良好な気がしますね。伸ばしましょうか。
コクピットブロックのみ未加工ですが、延長工作はさて、どうしたものか。イマイチ良い案が浮かばないのでこの場は保留とします。(コアブロックとのクリアランスもあるし。)

Hオムツ退治

胸部が終わったら次はいよいよ腰部です。ここは最終的に「可動戦士」のような一体型で可動する機構にしたいので、先ずはレットラを参考に段階的にアーマーの角度を 修正して行きます。最初に前側のパーツのサイドアーマーのブロックに沿ってマスキングテープを貼り、これをガイドにしてカット。

次に切り取ったフロントアーマーに残ったサイドアーマーの余分な所をカットして再接着。これでフロントの角度が修正され、サイドの形状も台形から直方体に近くなりました。

フロントの加工が終わったら次はリヤです。全く同じ工程を踏んで再接着してやれば、ご覧の通り。サイドの末広がりが解消され、腰周りが幾分引き締まりました。

I引き締まれ、ウエスト!
腰アーマーの形状が整ったところで、サイドの部分だけをプラ用接着剤で本接着。乾燥後にフンドシとアーマーを切り分けます。 フンドシ上部に変な傾斜面が有るのでそこを切断してプラ板で塞ぎ、上辺を揃えて各部品を再接着(勿論瞬着点留め)してバランスを見ます。レットラみたいにアーマー下端の角度調整は やってませんのであちらの作例ほど顕著ではありませんが、それでも元よりはコンパクトになってますね。

J胸・腹・腰と来たら・・・
勿論お次は大腿部です。こうやって隣接した部位を順に調整してやれば、少なくとも合わせた時に収まらない・・・なんて事は起こりませんね。上の記事で足の付け根がタイトになった分 前後左右で幅詰めする訳ですが、ここも手順は大体レットラの通り。まずスネと比べて太すぎる大腿のパーツを接着面で2ミリ程詰めてから(ここでは幅の広い外側のパーツのみを加工、 これで大体両方同じ幅になる。)瞬着で仮留め。その上で画像のように前面をバッサリ切り落として再接着。

ご覧の通りぐっとスリムになりました。画像では多少隙間や段差が生じておりますが、ここでは気にしません。
K軽快な足とは
スネは元々形状をいじるつもりが無かったので、次は幅が広すぎて鈍重に見える足首の攻略です。先ずはそのままの形状で使用するアンクルアーマーと幅詰めする足首部分を切り分けます。 ここでは超音波カッターが大活躍。ザクザク切れます♪勿論切り口は溶けますがここの場合は大して問題になりません。次に足首は置いといて先にソールの加工を済ませる事にしました。 どう考えてもソールの整形を済ませてからの方が足首の幅詰量が見え易いからです。
L見る間に軽やかに
加工中の画像撮り忘れたのでいきなり整形が済んでますが、先ずそのままでは底が平らにならないようになっている接着面を(足首の横ロールがない分を内側に角度を付ける事で緩和 しようとしたらしい)垂直が出るように削り、そこから更に前に向かってクサビ型に幅詰めして(ここでも幅広な外側のパーツのみの加工)前に向かって窄まった今風のラインに改めます。 これで一段階目で左右1ミリずつ、二段階目で外側前部のみ2ミリ、合計で全幅が4ミリ程縮まりました。この後足首のパーツを現物合わせで幅詰めしてすればOK!
M劇的ビフォーアフター
幅詰め加工の済んだ脚部を仮組みして未加工の物と比較してみました。前述の通りスネは無加工ですが、バランスが大きく変わってるのが分かるでしょうか?太腿はヒザへの収まりが 良くなり、足首は軽快感が出た上にアンクルアーマーの内側に上手い事入り込むようになっております。どうやら、目指す方向性に誤りはない事が確認出来ました。これで残りの右足にも 加工が出来ます。
N実はかなり無理やり立たせてます。
全ての部品の加工が終わったので、とりあえず一通り積み上げてみました。ビフォー画像と見比べれば違いは歴然です♪流石にフォースインパルスみたいな体型は無理でしたが、 (当たり前か・・・)多少なりとも現代風の体型に近付いたと思います。
因みに、腕部は全くの手付かず。フレームまで入った状態で胴体や可動部とのバランスが見えて来なければ長さなんて決められないし、ぶっちゃけ最後に回しても良いでしょう。

とりあえず一段落

外装の工作は終了したので第一段階は終了です。
次はいよいよ内部フレームの組み込みと可動の見極めに入りますが、今回はここまで。